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2024年2月3日 12:10~12:20

 熊山の展望台で書いている。周囲のベンチでは何人もの登山者が昼食休憩をとっている。登頂の達成感や安堵が手伝ってかどのテーブルもにぎわっている。周りには装備を整えた登山者しかおらず、VANSのスニーカーが場違いなようで恥ずかしい。少し滑る足もとが不安で、下を向いてばかりいた。自尊心を保つために膝さえ痛めていなければと思いながら、救いを求めるようにノートを開く。展望台からの景色が開ける。それでも真っ先に見た眺望の下半分は低山で、尾根が私の視界にゆったりとした曲線を描いている。緑色の木々が小鳥のさえずりを聞いていた。小さく見える町に向けて送電鉄塔が立っている。青空を突き刺す鉄塔をたどって、送電線が細く長く伸びている。右手に流れる川は吉井川で、パノラマのメイン、瀬戸内海へ向けて蛇行中。青い帯は途方もない大きさで、巨大な島々を従えてもまだ余裕があるようだ。